【半導体レーザ参考資料】機種選定のご参考
半導体レーザ製品の波長選定、JISクラスについての参考情報.機種選定の際のご参考になれば幸いです.
レーザ製品の機種選定、及び使用に際して参考になる情報を掲載しています。
特に、レーザ製品の選定や使用方法を誤ると、思いがけない事故に繋がったり、無駄なコストが発生するおそれもあります。レーザ製品を使用するにあたって、最低限の予備知識として一通り目を通していただけますと幸いです。
波長の選定について
人間が光として感じる波長域(380~780nm)において、眼の感度は一様ではなく、(明るい環境に順応した眼の場合は)波長555nmの黄緑の光に対して最大の感度を持っています。そのため、波長555nmから前後に離れるにつれて相対的な明るさが低下して、視認性は悪くなっていきます。
レーザ光の色 | 緑色系 | 赤色系 | - | ||||||
波長 (nm) | 515 | 532 | 635 | 650 | 670 | 685 | 690 | 780 | 830 |
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目視時の明るさ (相対値)※ |
17 | 24 | 6.3 | 3.1 | 1 [基準] |
0.4 | 0.3 | 0.0005 | ≒0 |
※国際照明委員会(CIE)が定めた明所視における標準比視感度を参考にして概算しています.
※波長670nmを目視時の明るさの[基準]としているのは、あくまでも便宜上です.標準的な波長といった意味合いは全くありませんのでご注意ください.
以上のことを踏まえて、各波長域における特徴をまとめると以下のようになります。
- 波長685~830nm域(赤色系): 視認性が悪く、特殊用途向け
極めて視認性が悪い波長域で、目視確認によって位置合わせするといった用途には不向きです。特に波長780, 830nmでは(近)赤外線領域となり、ほとんど視認不可ですのでご注意ください。
この波長域の半導体レーザにおいては、一般的に数十mWクラスの高出力品が比較的入手しやすく、受光センサーや CCDカメラ等の目視以外の方法で検出する用途においては有利になる場合があります。 - 波長635~670nm域(赤色系): 一般的な視認による位置決め用途向け
最も一般的に目視確認による位置決め・ガイド光として使用される波長域です。
照射距離1m以内の至近距離においてスポット光で使用する場合は、最も安価に設定された波長670nm製品をお勧めします。
照射距離が1m以上に大きくなる場合やライン照射タイプで使用する場合は、波長650, 635nm製品をお勧めします。
赤色系レーザでJISクラス2(以下)の出力レベルに抑えて視認性を極力良くしたいといった場合は、波長635nmを選定するのが一般的です。 - 波長515~532nm域(緑色系): 視認性アップによる位置決め用途向け
同一出力の赤色波長域と比較すると、この緑色波長域では視感度が数倍にアップするので、より視認性が向上します。比較的明るい環境での使用や、或いは極力低出力に設定して視認性を向上させたい場合には極めて有効です。
但し、一般的に赤色系製品より価格アップ、更に使用条件に制約がある場合もございますのでご注意ください。
ご使用用途/条件(タイプ、レーザ照射距離、明るさ環境、照射面の色、他)に応じて、まずは最適な波長・出力を選定するのがレーザ製品を使用する上でのポイントとなります。
弊社へご相談いただけましたら、ご使用条件にマッチした波長・出力など提示させていただきます。また、特に波長・出力選定などを目的とした貸出サンプル製品(デモ機)も準備しておりますので、ご相談ください。
レーザ機器の安全クラス(JISクラス)
レーザ機器は、それが人体に与える影響の程度によりクラス分けがなされます。
また、レーザー機器による障害の発生を防止することを目的として、各クラスに応じた「レーザー機器のクラス別措置基準」が定められています。各クラスの概要は、下表のようになります。
クラス1 | 本質的に安全で、合理的に予見可能な条件下で、どのような光学器具を使用して観察しても十分安全な低出力(おおむね0.39mW以下)のもの. ※最も安全なクラスではありますが、低出力に抑えられているため、使用環境によっては視認性の点で必ずしも実用的ではない場合がございます. |
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クラス1M | クラス1同様、合理的に予見可能な条件下で安全であり、302.5nm~4000nmの波長範囲のレーザ光を放出するもの.ただしクラス1とは異なり、光学器具を使用したビーム内観察は危険な場合がある. ※拡がりのあるレーザ光に適用されるクラスとなります. |
クラス2 | 可視光(波長範囲400nm~700nm)を放出する低出力(おおむね1mW以下)のもの.強い可視光が目に入射すると、まぶしさのために人間は反射的に目を閉じる.この嫌悪反応による瞬きによって目が保護されることを前提としたクラスである. ※一般的に、国内で販売されているプレゼン用のレーザポインターがこのクラスに該当しています.特別な安全措置を必要とせずに使用されているクラスとなります. |
クラス2M | クラス2同様、可視光(波長範囲400nm~700nm)を放出する低出力のもの.ただし光学器具の使用は危険であり、裸眼での観察に対してのみ安全である. ※拡がりのあるレーザ光に適用されるクラスとなります. |
クラス3R | 直接のビーム内観察は潜在的に危険であるが、その危険性はクラス3Bに比べ低いもの.出力レベルがクラス1の5倍以下、可視光(波長範囲400~700nm)に対してはクラス2の5倍以下(おおむね5mW以下)のもの. ※可視光か不可視光かによって、その安全措置の内容が変わってくるクラスとなります.例えば、可視光(波長範囲400~700nm)であれば、保護眼鏡の使用は必須ではありません. |
クラス3B | 直接又は鏡面反射によるビーム内観察は通常危険であるが、拡散反射の観察は通常安全である.波長315nm以上の波長をもつCWレーザの場合、出力0.5W(500mW)以下のものがこのクラスに分類される. ※保護眼鏡の使用や管理区域の設定等々、各種の安全措置が求められるクラスとなります. |
クラス4 | 危険な拡散反射を生じる能力を有するもの.皮膚障害や火災発生の危険性があり、使用に際しては細心の注意が必要である.クラス3Bの出力レベルを越えるものがこのクラスに分類される. |
※参考:「レーザ安全ガイドブック 第4版」 光産業技術振興協会編, 新技術コミュニケーションズ発行
■弊社の半導体レーザ応用製品の安全クラスは……
弊社では標準型式において クラス2, 3R 及び 3B に相当する半導体レーザ応用製品の製造・販売を行っております。
※特注仕様品として クラス1 に相当する製品の対応実績もございます。
クラス2
クラス3R
クラス3B
■更に詳細には……
レーザー機器のクラス分けについては、JIS規格で詳細に規定されていますので、必要に応じてご確認/ご参照下さい。
JIS C 6802: 2011 「レーザ製品の安全基準」
■レーザ機器の安全に関する参考資料……
(1) 「レーザ安全ガイドブック 第4版」 光産業技術振興協会編, 新技術コミュニケーションズ発行
(2) 「O plus E」 2001-7 Vol.23 No.7, 新技術コミュニケーションズ発行
(3) 「レーザー光線による障害防止対策要綱」基発第39号・昭和61年1月27日 労働省労働基準局長通達/改正(「レーザー光線による障害の防止対策について」 基発第0325002号・平成17年3月25日 厚生労働省労働基準局長)